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2010年8月8日日曜日

有害物質含有排水の処理

・重金属を含んだ廃液は一般に酸性であり、アルカリを加えることによって水酸化物の沈殿として処理できる。
 Mn+ + nOH- ⇔ M(OH)n↓
 例外:クロム(Ⅵ)、錯体

・複数の金属が存在すると、単独より低いpHで沈殿する(共沈作用)。
 共沈剤としてはアルミニウム塩、鉄塩などが使われる。
 ヒ素には鉄塩のみ有効。

・硫化物沈殿法も有効だが、硫化水素を処理しなくてはならないため、排水基準の厳しい水銀以外は用いられない。
 硫化物沈殿法はあまり行われていない。

・錯体の処理の基本は、鉄を加えて酸化である。

・フェライト化処理 各種重金属が混在する場合(濃厚重金属廃液)の一括処理。
 アルカリを加え酸化処理すると、マグネタイト(フェライト)が生成する。
 鉄(Ⅱ)を含む溶液にアルカリを加え、酸化・加温処理を行うとフェライトが生成する。
 各種重金属の一括処理が可能である。
 フェライトの結晶構造に取り込まれた重金属は、溶出しにくい。
 フェライトは強磁性を有するので、磁力による分離が可能である。
 分離したフェライトを有効利用する。

・有機汚泥の前処理として熱処理を行うと、脱水性は改善されるが分離水のBODは高くなる。

・凍結融解法によると、薬品を添加せずに脱水性を改善できる。

・ろ過助剤は、一般に大量に使用しないと効果が現れない。

・凝集剤の添加量を決定するには、ヌッチェ試験が適している。

有害物質の人体への影響

◇水銀:
 水俣病(メチル水銀)。魚介類経由で摂取。
 生体内に取り込まれた水銀は糞、尿、毛髪から排泄される。

◇カドミウム:
 カドミウムを摂取すると、解毒作用を持つメタロチオネインが誘導合成される。

◇ひ素:
 ひ素の毒性 5価の化合物 < 3価の化合物

◇セレン:
 セレンは水銀の毒性を軽減する。

◇鉛:
 鉛による毒性発現は、ヘム合成阻害によって貧血を起こす。

◇PCB:
 疎水性を有するPCBは、脂肪組織に蓄積し、塩素座瘡を起こす。

◇シアン:
 シアン化合物は、細胞中の呼吸酵素阻害を起こし、致死的影響を与える。

河川への有機物の流入

河川へ有機物が流入すると、流入地点よりやや下流で溶存酸素濃度が最も低くなる。
また、細菌類の増加よりやや遅れて(下流側で)、原生動物が増加してくる。

◇指標生物
 きれいな水    サワガニ、カワゲラ類、カワニナ
 やや汚れた水  モノアラガイ、シジミ類
 汚れた水     ミズムシ、イトミミズ

アンモニアストリッピング法

アンモニアストリッピング法とは化学反応によって水中のアンモニア性窒素を除去する方法である。

◇原理:
 水中のアンモニウムイオン(NH4+)と 水酸化物イオン(OH-)が反応し、一方は水(H2O)として水中に、もう一方はアンモニアガス(NH3)として大気に放散される。

 アンモニア性窒素の除去率に影響を及ぼす因子は、pH、水温等がある。
pHは高いほど良いがpH 10.5以上では除去率の増加は小さくなるといわれている。
また水温も高いほど除去率は良いとされる。

 一方、除去率に影響を及ぼさない因子としては、アンモニア性窒素濃度である。
一般的には濃度と除去率には相関は無いと言われている。

アンモニア態窒素

◇アンモニアストリッピング法:
 通常、アルカリ剤として水酸化ナトリウムを用いて、アンモニアを揮散させる。

◇不連続点塩素処理法:
 アンモニアを塩素により窒素ガスへ酸化し、水中より除去する。

◇イオン交換法:
 陽イオン交換樹脂やゼオライトを用いる。

有害物質の処理におけるpH 制御

・鉛排水の水酸化物生成凝集沈殿法では、pH を6~8(中性)にする。
・無機水銀排水の硫化物生成凝集沈殿法では、pH を6~8(中性) にする。
・ヒ素排水の鉄塩による共沈法では、pH を3~7(酸性) にする。
・シアン排水のアルカリ塩素法では、pH を一段反応では10(アルカリ)、二段反応では7~8(中性)以上にする。
・クロム(Ⅵ)排水の還元-水酸化物沈殿法では、亜硫酸塩による還元工程のpHを2~2.5(酸性)にする。